食べものが好きだ。

食に興味を全振りした若造サラリーマンによる食ブログ

【食べ歩き】兄部坊(善光寺下)

こんにちは。


前回申し上げた通り、長野・岐阜旅行の続きでございます。

 

日本を震撼させた台風19号が最接近した九月の某三連休の真っ只中

一歩間違えれば暴挙とも言える強硬策も、結果としては大変充実した2泊3日でした。


初日の夢のような松茸づくしに続いて、今回はさらに長野県北部へ移動して、訪れたのは訪日客にも人気の国宝・善光寺


それも今回は宿坊に泊まって精進料理を頂くという貴重な体験をさせていただきました。


そもそも宿坊とは、宿泊施設を備えたお寺のことで、本来の用途は僧侶や参拝客の宿泊施設。

それが最近では、観光客の行動志向が多様化しつつあることに対応する形で、多くの宿坊で一般客の受け入れが行われるようになりました。


例によって、善光寺近辺にも多くの宿坊が存在する中で、今回伺った兄部坊(このこんぼう)さんは128年の歴史を持つ由緒正しき浄土宗の宿坊とのこと。

名前に冠する「兄」の字は、他宿坊にとってのまとめ役という意味合いも持つそうです。

 

ちなみに、現地の方によると、境内には浄土宗の大本願天台宗大勧進の2つが位置していて、それぞれが無宗派である善光寺を守る役割を担っているんだとか。周辺の宿坊はそれらに由来したものであるため、いずれかの宗派に二分されるんですね。

こうした興味深い話が伺えるのも宿坊ならではの楽しみかもしれません。

 

ということで、まずはやっぱり善光寺さんにお参りをすることに。

よくテレビで見るあのバカでかい本堂も、間近で観るとなお大きく、なんだか圧倒されます。

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※なお、本堂内は撮影禁止ですのでご注意ください。

 

こちらは境内と仲見世の境界にそびえる山門の上から眺めた景色。500円の山門拝観券を購入すると登れます。

善光寺は檀家を持たないせいか、やたらと観覧料が発生します。別にいいけど世知辛いね
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同じ目線から見た本堂は下から見上げたときとはまた違った風情を放ちます。
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山門を後にして突入した仲見世通りは一大観光地・浅草寺もかくやと言わんばかりに賑わっていて、土産物屋さんやカフェといった、日本の寺社仏閣にはお馴染みの類の店々が立ち並んでおります。
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そのまま歩き続けていると、程なくして今回の逗留先、兄部坊さんに到着しました。
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周辺には前述の通り、数多くの宿坊が並んでいるものの、赤く染まった朱門を構えるのはこちらだけ。

歴史の古さを物語るものなのかは不明ですがスペシャル感に心が踊ります。

 

宿坊っていうと禅寺のような、あくまで質素でいかにも修行然とした内装を想像していましたが、掃除は行き届いていてそこはかとないお香の香りがそれらしさを感じさせるものの、一般的な旅館のような趣だったのは意外でした。

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部屋に着くや、善光寺のいわれからお朝事と呼ばれる朝のお坊さんたちの読経修行の見学体験、また宿坊のしきたりなどについての説明を受ける我々一行。

 

中でも特に、宿坊はあくまでお寺に併設された宿泊施設でしかないため、食事や滞在時間を始めとした各々ルールについては各坊で定められたものに従わねばならぬとのこと。

まれに旅館並みのサービスを期待する観光客でもいるのか釘を刺された格好となりましたが、これも宿坊ならではの経験と言えるんじゃないでしょうか。

 

そんなこんなで気を引き締めつつ時間を潰していると、お昼にあれだけ松茸尽くしを頂いたのに長旅のせいか不思議とお腹がすいてきた時刻は17時20分。

さきほどの説明にもあった、夕食のお時間です。

 

なんだか宿坊にありながら暴食じみた食欲に若干の罪悪感モウシワケナサを覚えますが、そんな中で気を取り直して頂いたのは以下の通り。

  • 生麩、椎茸、切干大根、絹さやの炊き合わせ
  • 胡麻豆腐
  • 鰻豆腐
  • じゃがいものなます
  • 湯葉あんかけ
  • 米ナスの田楽
  • そば
  • 炊き込みご飯、がんもどきのお吸い物
  • あんずの葛寄せ

 

精進…っ!!

と思わずつぶやいちゃいそうなレベルで充実したラインナップ。

当然、観光客向けにアレンジされているのかもしれませんが、どれも手を尽くされた心のこもったお味かつ見た目もきれいで、まさしく精進料理の名に恥じないお料理たちでした。

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精進料理の感想をつらつら述べるなんぞ無粋もいいところですが、単なる感想ということでね、ご了承いただければと思います。

 

■生麩、椎茸、切干大根、かぼちゃ、絹さやの炊き合わせ

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その名の通り、具材をそれぞれ出汁で炊き、一つの椀に盛り込んであります。

あくまで薄味であるおかげで、生麩の食感や椎茸の旨味、かぼちゃの甘みなど素材本来の味にかえって集中することができ、なんというか外連味のない味。

道理をわきまえた精進料理のスタンスを、まず認識させてくれた一品でした。

 

胡麻豆腐
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某料理漫画のせいでお坊さんの作る料理の代表というイメージがあるんですが、聞くとやっぱり定番とのことで頂いた胡麻豆腐。

丁寧にゴマを擦らねば得られぬ自然な甘さともっちりなめらかな食感が、舌にも喉にも気持ちよく、心にも美味しいです。ちょこんと添えられたわさびが舌を引き締めてくれてくれるのも嬉しいですね。

 

■鰻豆腐
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豆腐を擦って湯葉で巻き、油で揚げて鰻に似せたこちら、海苔が鰻の皮目をうまく表現していて、見た目は鰻そのもの。

食べてみるとそこまで鰻っぽくはないものの、 蒲焼き風の濃いめの味付けが相性良く、むしろ豆腐それ自体を味わう料理であることに気づきます。あくまで精進料理でありながら、スタミナ料理の代表格でもある鰻に似せるとかいう遊び心を感じさせてくれて、楽しい料理でした。

 

■じゃがいものなます
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なかなか耳慣れぬ料理名ですが、その名の通りじゃがいもの千切りで作ったなますです。

軽く炒ったじゃがいもを甘酢と合わせ、菊花をそえたものとのこと。

しゃくしゃく軽い歯ざわりが穏やかな酸味と合わさって口の中を爽やかにしてくれる、良い箸休めです。下拵えの際に水にしっかり晒したおかげかじゃがいも独特のデンプンくささは無く、小さな小鉢ながらも手間を感じた一品でした。

 

湯葉あんかけ
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擦った山芋を敷き詰めたところに湯葉を並べ、昆布出汁と葛で作ったあんを注いで蒸しあげた茶碗蒸しです。

とろとろの湯葉と山芋の喉越しを楽しんでいるところに、優しい甘さのあんが絡んでどこまでも優しい味わい。

その甘味は砂糖のそれのようなはっきりとしたものではなく、葛や昆布出汁から滲み出る、根菜をじっくり煮出した時のような自然な甘味なので一切のくどさがないのは驚きです。

 

自身を振り返ってみると度々メリハリのある味を是とするような発言をしているけれど、こうした心に染みる滋味深い味わいも大事にしなければいけないなあと痛感させてくれたお料理でした。

 

■米ナスの田楽
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油と茄子の相性の良さは広く知られているところですが、中でも茄子の田楽ときたら鉄板ですよね。

今回頂いたのは信州には珍しく麹が多めの白味噌に柚子を練りこんだ柚子味噌田楽です。トロトロの茄子の甘みを柚子の香りが引き締めてくれて、最後までダレずに美味しく頂けます。

 

例によって、茄子の甘さを引き出すことに注意が払われているため田楽味噌の甘さは控えめ。

全体に言えることですが、足し算ではなく引き算の味付けを徹底されているところは料理好きとしては勉強になる一面ですね。

 

■そば
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あらかた料理も出尽くした頃、土地柄か更科系の白いお蕎麦が運ばれて参りました。薬味にクルミが添えられているところが信州らしい。

蕎麦の香りは強くなく、しゃっきりした歯ごたえは更科系ならでは。

癖がなく喉越しも良いせいか、満腹に近い状態でもペロリと頂けちゃいました。

 

■炊き込みご飯、がんもどきのお吸い物
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最後のお食事として炊き込みご飯とお吸い物を頂きました。いわゆるシメに該当しますが、和会席でいうところの小吸物よろしくといった具合の薄味なので、胃にも優しい平和な締めくくりと相成りました。

 

それでも、油揚げやがんもどきなど、植物性たんぱく質が一定のパンチを与えてくれるので物足りなさは全くないあたりは流石ですね。

付け合わせの信州名物野沢菜がピリッと舌を引き締めてくれて、食べ終わった後のそこはかとない満足感を演出してくれてます。

 

■あんずの葛寄せ
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食後には甘みが欲しくなるのは精進を重ねた坊主も例外ではないようで、最後の最後にデザートが運ばれて参りました。

あんずを甘いシロップで煮たところに葛を加えて固めた、いわば和風ゼリーです。

それでもやはり甘過ぎず奥ゆかしい味わいが、いい加減満腹な胃袋には嬉しいところです。

 

精進料理って正直質素で、全然腹にたまらないんじゃないの、っていう思い込みがあったんですが、とんでもないですね。

めちゃめちゃお腹いっぱいになります。

 

いくら優しい素材使いで身体に優しいとはいえ、こんだけ頂けば満腹もいいところ。身動き取れないほどの満腹感に襲われる様は、まさに凡夫たる悲しさってところでしょうか。

 

食べ過ぎた満足感と罪悪感がせめぎ合っている時刻は19時を回ろうかという頃、聞くところによると、20時からお坊さんによる説法体験ができるとのこと。

 

有難いお札もいただけるっていうし、せっかくだからってんでしばし部屋で休んだのちにみんなで移動し、いざ説法体験。

 

もともと無信心なうえに満腹状態に陥っているぼくにとってはお坊さんの長いお話を正座で聞き続けるというのは地獄というほかなかったけれど、50分間を耐えきってお札を頂いたころにはなぜか不思議な達成感を感じておりました。

 

罰当たりというほかない自分を恥じつつ、お風呂もいただいて気づけば爆睡。

充実した眠りの中、夜は更けていったのでありました。

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そうして迎えた翌朝の起床時間はなんと午前5時。

正気か?と思いつつ叩き起こされて向かったのはこれも善光寺ならではといえるお朝事体験。f:id:shmz_foodlover:20191021212310j:image

 

毎朝行われる浄土宗の住職にあたる上人様を始めとしたお坊さん方の読経を、間近で見学することができる宿坊ならではの体験です。


お経の意味はまったくわからないけど、早朝独特の厳かな雰囲気の本堂で、それも間近で聞くお経はどこか心を落ち着かせてくれました。

起きた当初こそ、寝かせろや…と思わなくもなかったけれど、今では宿坊に滞在される方にはぜひお勧めしたいと思います。

 

お朝事も無事終わり宿坊に戻ると、待ちに待った朝ごはんの準備が整っておりました。

 

昨晩の苦行もとい説法体験と今朝のお朝事が効いているとはいえ、不思議とお腹はすっきり空いていて、精進料理の底力を思い知らされます。

(旅行のたびに言ってるので精進料理のおかげかどうかは微妙だけど気にしない)

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  • 白米
  • ほうれん草の味噌汁
  • 野沢菜胡麻和え
  • 香の物
  • 山芋の千切り
  • 昆布の佃煮
  • 車麩の煮物
  • ふろふき大根

 

主食の白米と一汁三菜、さらに香の物と、和食の基本に忠実な構成にホッとします。

どれも薄味の優しい味付けなのは夕食同様ですが、少しだけ郷愁をより感じるのは、ちっちゃい時から食べてきたような素朴なおかずのおかげでしょうか。

心が温まる嬉しい朝食でした。

 

■車麩の煮物
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焼き麩の一種であり、肉厚なことでも知られる車麩を戻してから昆布出汁で炊いた煮物です。

ずっしりとお肉のような食べ応えもありつつ、噛み締めると美味しいおつゆが溢れてきて薄味ながら食べ応えがあり、優しいラインナップの中にあってパンチが際立ちます。

 

■ふろふき大根
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柚子の香りがする味噌だれを、米のとぎ汁で炊いた大根にかけたお馴染みのふろふき大根。

普段はお酒のつまみでいただくことが多いですが、朝ごはんのおかずとして頂くと荒れた胃に染み入るような、根菜独特の滋味が有難いですね。

 

朝ごはんも美味しく残さず頂いて、いい加減お腹は一杯に。

またもや食べ過ぎて己の学習能力のなさに辟易しつつも、そこはかとない満足感に包まれつつ、宿坊に長居は無用ということで早々に兄部坊さんを後にしたのでした。

 

初めての精進料理体験、ひいては宿坊体験は想像以上に楽しめたひと時でした。

精進などと考える暇もなく、心からお料理を楽しんでしまったのは反省点ですが、それだけ今回頂いた料理たちはエンタメ性にも富んでいた。

 

精進料理というと、肉を使わない料理という程度の認識しかなかったけれども、今では万事森羅万象を慈しみ、敬意を払い、真摯に向き合うというところにコンセプトの核があるんじゃないかなとも思ったりします。

あの手この手で素材の良さを活かそうとしているところからも、そんな印象を受けました。

 

もしも今回、本投稿をお読み頂き、興味が湧いたようでしたら、ぜひ宿坊に泊まって精進料理を召し上がってみてくださいね。

 

ただその際は、あくまで宿坊は宗教施設であり、旅館ではない旨、くれぐれもご留意ください。

 

それでは、本日も駄文をお読み頂き、

ありがとうございました。

 

長野・岐阜旅行記はまだまだ続く

 

 

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【食べ歩き】丸光園松茸山(上田市)

こんにちは。

 

日本中で猛威を振るった台風(もといゴミクズ野郎)の爪痕が残りまくっている今日この頃、皆さまいかがお過ごしでしょうか。

被災に遭われた皆様方には心よりお見舞い申し上げます。

 

本来であれば冬に備えた恵みの季節たるこの時期に、史上最大レベル規模の台風が飛んでくるとかいう信じがたいニュースを耳にしたのが10月頭。

 

例によって、不安に駆られた人々で溢れかえった諸SNSたちが軒並み祭り状態に陥る中、当方もゴミクズ野郎の動向が気になって眠れない夜が続いておりました。

 

というのも、直撃が予想された10月11日からの三連休まさにその時に、長野・岐阜旅行計画を立てていたから。

 

ふざけんなよブチ●すぞ

という誰も見ていない悪態をつきつつも天気予報から察するにどうやら中部地方北部は直撃は免れそう、という一筋の光明を見出しました。

 

加えて、長らく楽しみにしてきた予定がポッと出の天候不順に潰される気持ちといったらやるせないことこの上なく、しかも心に大きな傷を残しかねぬ…ということで、若干の不安はあるものの、

決行…っ!と相成りました。

 

そして迎えた出発当日の11日、意外にも雨は降っておらず、晴れ間も見えてピーカンではないけれどまずまずの天気。

上陸予報時間はまだ後とはいえ、地獄で仏的シチュエーションにひとまず安堵したのでした。

 

今回の旅行は、長野県上田市から岐阜は白川郷にかけてを車で巡る山間ドライブツアー。

旅行というだけあっていろいろなアクティビティが予定されていたものの、一行はみな食べるの大好きということで、秋の山の味覚を味わうのも大きな楽しみの一つ。

 

そんな中で、まず最初に訪れたのがこちら。

長野県上田市の山奥に佇む丸光園松茸山さんに伺いました。

丸光園松茸山 - 下之郷/和食(その他) [食べログ]

 

日本人であれば、松茸を腹一杯食べてみたい…と一度は夢みたことがあるんじゃないでしょうか。

そこまでではなくても、なんとなく高級品といえば松茸!なんてイメージを持つ人、少なくないと思います。

 

ここ丸光園松茸山さんは、そんな夢をリーズナブルに実現させてくれるお店ではないでしょうか。

なにせ、こちらのお店が位置する鴻之巣山は、いたるところにアカマツがニョキニョキ生えている、別名松茸山

 

豊富な産出量を誇る産地ならではの価格設定で松茸尽くしを味わうことができるまさに天国のような場所ですね。

なお、当然ながら9月中旬〜11月の期間限定ですのでご注意ください。

 

そんな丸光園さんで頂いたのは以下の通り。

  • 松茸の茶碗蒸し
  • 松茸の土瓶蒸し
  • 松茸の天ぷら
  • 焼き松茸
  • 松茸鍋
  • 松茸のお吸い物
  • 松茸のホイル蒸し
  • 松茸ご飯

 

字面だけですべての松茸信者が圧倒されそうな勢いです。

シーズンもたけなわなためか、テーブルを見渡すと、形の立派な松茸が惜しげもなく使われていて、なんだかバチが当たりそうな気すらしてくる…そんな中で、ついに我々の卓でも松茸祭りが始まりました。

 

■松茸の土瓶蒸し

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初っ端からこれかいなと良い意味で出鼻を挫かれんばかりに、土瓶蒸しが出てきます。

突き出しという概念を度外視しつつ、松茸それ自体の香りを印象付ける一品目でした。

 

普通土瓶蒸しといえば、カシワやら銀杏やら様々な具材で香りを増強するものですが、こちらのそれは松茸のみによる一本勝負。

にも関わらず、むせ返るような松茸の芳香が楽しめるあたりはさすがの一言ですね。

 

■松茸の茶碗蒸し
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同時に運ばれてきたのがこちらの茶碗蒸し。

土瓶蒸し同様、具は松茸のみのド直球な一品。

 

若干の巣が入っているところも飽くまで素朴で、むしろ山奥の食堂ならではのご愛嬌。

料亭でいただくそれのような出汁の細やかさはないけれど、優しい卵液が松茸を引き立ててくれて優しい味わいが嬉しいです。

 

■松茸の天ぷら
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きのこと油ってめっぽう相性がいいってのはだれもが認めるところと思いますが、今回は松茸を天ぷらで頂いちゃいました。

きのこの王様・松茸をみんな大好きな天ぷらで作るというだけでテンション爆上げ必至。

 

大ぶりな個体に歯を入れるとサクサクの衣の中から松茸の芳香が飛び出してくるのがわかっていてもやっぱり嬉しいですね。

 

ぶっちゃけ松茸というと香り先行で、ともすると物足りなさを感じることもなくはないのですが、油分が食べ応えを補って、新鮮な味覚を与えてくれました。

 

■焼き松茸

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そうこうしている間に、鉄板からチリチリと音が聞こえ始めました。焼き松茸が食べ頃を迎えた合図です。

 

これまた大ぶりな松茸を、鉄板で焼いて醤油をつけて食べるシンプル極まりないこちら。

俗に松茸の涙と呼ばれる水分が表面に浮き出てきたところを頂きます。

 

焼くと香りがより強調されて、香り松茸味シメジの面目躍如といったところでしょうか。

シャクシャクした感触と強い香りで、ああ今まさに松茸を食ってるんだなあということを実感できる一品でした。

 

■松茸鍋
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もうすでに数年分の松茸を食べたのと違いますかと誰もが感じ始めたタイミングで、店員さんがそっと運んできたインパクト抜群のこちらはその名も松茸鍋。

 

甘辛の割り下が注がれた浅めの鍋に、ネギと糸こんにゃくを敷き詰め、カシワの胸ともも肉を重ね、そしてその上にはトッピングというには膨大すぎる松茸のスライスがどっさり。

 

圧倒的ビジュアルにギャーという嬌声というか悲鳴が上がる中、鶏肉に火が通ったら食べ頃。すき焼き風に溶き卵を絡めて頂きます。

 

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すき焼き風の味付けやカシワの出汁のお陰でコッテリした味わいなのに、それでもなお、健気なまでに本来の香りを讃える松茸ってのは大したキノコですね。

鶏肉やその他ザクの量が松茸を味わうには少々過剰な気もしましたが、とはいえ目先が変わって、とっても美味しく頂きました。

 

■松茸のホイル蒸し

松茸の波状攻撃はいまだとどまることを知らぬとばかりに、アルミホイルに包まれた謎の物体が出てきました。

 

なんじゃらほいとおもむろに開けてみると、圧倒的な芳香とともに現れたのがこちら。
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理想の松茸を絵に書けといわれたらこうなるんじゃないかしらというと少々大げさですが、傘の開き具合といいサイズといい、この日一番と思しき個体が蒸し焼きにされた、こちらのホイル焼き。

 

傘の先端に切れ目を入れて、熱さを堪えつつ手で裂きながら頂きます。
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醤油と酒を振りかけて蒸し焼きにしたことで適度に水分が抜け、凝縮された旨味と香りはこの日随一。

なおかつシャクシャクと歯ごたえ良く、松茸の醍醐味を味わえるという点では、焼き松茸に勝るとも劣らないかもしれません。

 

■松茸ご飯とお吸い物
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松茸尽くしときたらこれを食べずして終われないのが、やっぱり松茸ご飯。

 

料理で余った松茸の切れ端や軸をこれでもかとぶち込んで薄味で炊き上げられており、そこはかとなくプンプン漂う松茸の香りが楽しめます。

 

つまるところ日本人には米の飯とはよく言ったもので、ご飯をグイグイ飲み込む快感は主食白米族にはたまらないですね。

 

山奥の食堂よろしくおかわりを促されますが、ここまでいただけば流石にお腹はハチキレそうということで、同じくおかわり自由の松茸のお吸い物を啜ってお開きとなりました。

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ここまでブログ記事を書いている間にも松茸香りが思い起こされるほど、松茸を食べまくったひと時でした。

たびたび申し上げた通り、数年分の松茸を喰らい尽くしたかのような圧倒的満足を覚えます。

それでいて、お値段は11000円のリーズナブルかつ明朗会計。

 

趣向を凝らした料理とは言えないけれど、雰囲気のざっかけなさや値段の手頃さも手伝って、都内の料理屋さんで頂くそれよりも気兼ねなく、心の底から松茸を楽しむことができる場所だと思います。

 

正直、しばらく松茸は食べなくていいかな…と思わなくもないけれど、松茸欲が再燃した折には是非また伺いたいと思います。

 

それでは、今回も駄文をお読みいただき、

ありがとうございました。

 

旅はまだ始まったばかりということで、長野・岐阜旅行続編に続く。

 

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丸光園

 

 

 

【食べ歩き】Ostu(代々木公園)

こんにちは。

 

実はわたくし、少し長めのお休みをいただいていたのですが、先日、とうとうというかやっとというか、遂に社会復帰を果たしました。

 

もとが仕事をしていないと落ち着かない性分なもので、自分で望んだ休暇にもかかわらずなんとなくソワソワして、何も届くはずのない会社メールをチェックしてみたりする毎日。

こんなところも小心者を自認する所以でございますが、まぁ、それでも何だかんだリフレッシュさせていただきました。

 

出社日前日になったらなったで、ちゃんと復帰できんのかいな…と不安に襲われたりもしましたが、万全すぎるシミュレーションのおかげか何とか社会の荒波に食らいついている今日この頃です。

そんな中、さる週末、社会復帰の第1週目がめでたく、どうにか終了いたしました。

 

てなわけで、記念になんぞおいしいものでも頂こうじゃないかというなにかと理由つけて自分にご褒美モードが発動いたしまして、かねてより目をつけていた代々木公園近くに佇むイタリアンの名店、Ostu(オストゥ )さんに伺いました。

Ostu オストゥ
〒151-0053 東京都渋谷区代々木5-67-6 代々木松浦ビル1F
10,000円(平均)3,800円(ランチ平均)

 

渋谷からほど近いくせに閑静な住宅街である代々木公園駅周辺。それでもやっぱりどことなくおしゃれな雰囲気が好きでよく散歩するのですが、その時に見かけて以来ずっと気になっていたこちら。

 

今回の訪問を決めてから調べてみると、なんとミシュラン一ツ星の実力店とのこと。

 

グルメガイドの星の数に踊らされるのも馬鹿馬鹿しく感じつつも、自分の嗅覚と不特定多数の評価が一致すればなんとなく嬉しいのは人間の性ってやつでしょうか。

 

日本では聞きなれぬオストゥという店名は、ピエモンテ州の言葉でオステリア、すなわち日本語でいうところの食堂を意味する言葉に由来するそうです。

 

言うだけあって、シェフはピエモンテ州の名店にて修行されたとのことで、いやが応にも期待が高まりますね。

 

来店2日前に(食べログではない)某サイトを利用して2名分のディナーコースを予約。

月初の土曜日18時という些か読みづらい日時ながら、幸運にもなんとか席を確保できました。

 

実際に伺ってみると、開店直後にも関わらずテーブル席中心の店内は6割ほどがすでに埋まっておりました。

 

場所柄なのか、いずれのグループもいかにも裕福そう、かつ年齢層は高め。

私の拙い経験上、こうした客層のお店はえてして良店であることが多いため、ひとまずの安心を得たのでした。

 

こちらのディナーコースはアンティパスト、プリモピアット、セカンドピアット、デザートをそれぞれメニューから選べるプリフィクススタイル。

豊富なメニューに目移りする中、苦心の末にお願いしたお料理は以下の通り。

 

一応、ピエモンテ州以外の料理も用意されているのですが、せっかくなのでお店のおすすめに乗っかって、ピエモンテ縛りでキメてみました。

 

というわけで、まずはこちらもピエモンテスプマンテフランチャコルタドサッジョゼロで乾杯。

食前酒に泡を頂くと、胃がスッキリして食欲が湧いてきます。

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コースにおける先付けやアミューズってのは、全体に対する印象を左右するという点で非常に重要な存在だと思うのですが、突き出し的に供されるこちらのグリッシーニとパンは本当に美味しかった。まさに期待を膨らませてくれる、嬉しい存在でした。
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フォカッチャはフワフワフカフカで、口に含むと気持ちがいいです。

コースの進行中もパンは度々追加できるんですが、美味しいあまりついつい食べ過ぎて都合4つ行ってしまったのはまた別のお話…。
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スプマンテグリッシーニ、そしてパンに舌鼓を打っている間に、アンティパストが運ばれて参りました。

待ちに待ったコース本番の開始です。

 

■ヴェネト産ウサギ肉のインサラータ 秋トリュフ
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要するにウサギのサラダですが、日本人にも抵抗のない癖がなくさっぱりした味わいは、いわゆるラパン、家うさぎでしょうか。

 

一般にインサラータというと、安直にもヴィネガー、パルミジャーノ、オリーブオイルの味に支配されちゃうイメージないでしょうか。ありますよね。わたしはあります。

 

ところが今回頂いたこちらのインサラータ、ドレッシングの主張はむしろ控えめで、ナッツやイチジク、ザクロの穏やかな甘みを上手く利用しつつ、ともすると淡白すぎるウサギの旨味をしっかりと引き出しています。

結果的に、あっさりしているのにコクがある力強い味に仕上がっており、本当に美味しかった。

 

初っ端から巧みな食材使いを見せつけてくれる、嬉しい一皿でした。


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スプマンテが切れたってんで、思い切っておすすめのワインをボトルで頂きました。

グリニョリーノ モンフェッラート デル カサレーゼ(舌噛みそう)なる、ピエモンテはモンフェッラート地方のワイナリーで作られるワインとのこと。

 

果実味は強くなく、2013年という微ビンテージのおかげか酸味も穏やかなため、食べ物に合わせやすそうな印象。

どことなくスモーキーな風味もするあたり、珍しくも楽しいワインでした。

 

■フレッシュポルチーニのセモリナ粉フリット
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フレッシュのポルチーニに衣をつけてフリットにした、シンプル極まりない一品。

 

イタリアでパスタの材料に使われるセモリナ粉からなる衣はきめ細かく、サクサクした軽い口当たりでいくらでも頂けそうです。

 

ポルチーニに苦手意識を抱く日本人は多い、って以前聞いたことがあるけれど、こちらはフレッシュなので乾物ほどの強烈な癖はなく、むしろキノコ好きな日本人好みの味と感じます。

 

■タヤリン ヴェネト産サルシッチャのソース
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た、タヤリン?なんじゃらほいと思って聞くところによるとピエモンテを代表する手打ちパスタ、とのこと。

名前の響きからして、あのタリオリーニピエモンテ州で独自に発達したものと予想したとおり、形状は平打ちの細麺です。

 

パスタの種類ってのは膨大で、知らないものが出て来て当たり前って感じなのですが、このタヤリンの感触はそれでも衝撃でした。

 

あえて擬態語で表現すると、啜ればチュルチュルフワフワピロピロ、噛めばシャッキリという具合。(大丈夫か)

とにかくアルデンテとかそういう概念とは無縁の、強いて言うならアジアの米で作った麺のようにふんわりしているんですよね。

 

優しい感触のためか、サルシッチャをつかった塩味の強いソースが合わせられています。

主張の穏やかな麺の美味しさを濃厚なソースが引き出してくれていて、非常に均整のとれた一皿でした。

 

ただ、あまりに食べやすく一瞬でペロリしてしまったことが唯一惜しかったところ…。

(完全に八つ当たり)

 

■熟成カルナローリ米のベルジェーゼ風リゾット
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二品目には、イタリア原産のカルナローリ米を使った濃厚なリゾットをオーダーしました。

粒が日本のうるち米よりも大きく、感触はモチモチしていてソースがよく絡みます。

 

ベルジェーゼ、という単語の意味するところは不明ですが、赤玉葱のジャムを使って炊き上げたというこちら、存外にもコッテリしていて濃厚なお味。玉葱に徹底的に火を通したときのあの甘みのおかげで味が単調にならず、奥行きがあるんですよね。

 

メニューの字面からは想像し難い、意表をつくリゾットでした。

 

■国産牛ほほ肉のブラザート アル バローロ
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メインに相応しい、迫力のある一皿がやって参りました。

またもや日本語でOKって感じの料理名ですが、ブラザートはピエモンテ独自の煮込み料理の名称で、バローロは同産の赤ワインを意味するとのこと。すなわち、言ってしまえば牛ほほ肉の赤ワイン煮込みですね。

 

繊維の一つ一つがはっきりしている牛ほほ肉がナイフを入れただけでホロホロにほぐれるまでに柔らかく煮込まれております。

バローロのソースもこってり濃厚で、牛肉に合わせるには心強い存在感。

 

付け合わせはフレンチとは異なり、マッシュポテトではなくポレンタが添えられています。

トウモロコシの粉末を練り上げて作った北イタリアの名物ポレンタは、素朴ながら優しい甘さでむしろマッシュポテトよりもこの類の料理を上手くサポートしてくれる気がします。

 

■トルティーノ ディ ノッチョーラ ザバイオーネジェラート添え
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トルティーノ ディ ノッチョーラって三回言ってみて!って言ったら多分一回は噛む。

そんな名称に惹かれてデザートにはこちらをチョイス。

 

ノッチョーラってのはヘーゼルナッツを意味するイタリア語とのことで、平たく言えばキャラメルソースとヘーゼルナッツをタルト生地で包んで焼き上げたお菓子です。


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ナイフを入れると中身がトロリと溢れ出て、ビジュアル的にも絶対美味いやろコレ感満載。

タルト生地のサクサクした食感との対比がまた楽しく、最後まで飽きずにいただけるデザートでした。

 

個人的にはイタリア料理を頂いた時のドルチェの印象ってあまり残らないことが多いんですが、そんな中でとても印象的な一皿でした。

 

エスプレッソとミニャルディーズ
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ミニャルディーズすなわち食後の軽いお菓子は、ポレンタを焼き上げたもの、メレンゲを焼き上げたマカロンのようなお菓子、ヘーゼルナッツのチョコレートの三種類。

控えめな甘さのおかげで、本格的なエスプレッソの苦味がむしろ引き立って、口の中があくまでスッキリしたところで、有終の美と相成りました。

 

全体的に、本当に素敵なレストランでした。

ピエモンテ州のことなんて全然知らないけれど、なんだか現地のリストランテで食事をしたかのような気分に浸れます。

 

一皿一皿に手が込んでいて、安直な食材使いをしないところも非常に勉強になるお店でした。

 

個人的には是非リピートさせていただきたいお店ですね。

シェフによれば、これから秋が深まるにつれて、白トリュフも出てくるとのこと。

 

料理はリーズナブルな一方でワインは若干強気な価格設定だったりと、ぼくのようなペーペーはターゲットの外にありそうな気がしないでもないけれど、また秋が深まった頃に伺いたいと思います。

 

それでは、今回も駄文をお読みいただき、

ありがとうございました。

 

 

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【料理日記】アイナメ尽くしで酒盛りな夜

こんにちは。

 

今朝方、某朝の情報番組をみていると、食べログヤクザなるものが特集されておりました。

 

なんのこっちゃいという感じだけれども、なんでも食○ログだのぐるな○だの、飲食系SNSにおける表現の自由を盾に飲食店で傍若無人に振る舞う連中のことを指すスラングなんだとか。

 

行ったこともない店を酷評したり、店主の容姿を嘲るような物言いをしたりと、聞く限りにわかには信じがたいような振る舞いを見せるという食べログヤクザ

 

でもまあ、個人的な所感としては、こういうヤツいるんだろうなあと感じるのもまた事実。

というのも、たしかに腹立つ店や店員というのは確かにいて、悪口のひとつもボヤキたい気持ち、とてもワカルんですよね。

 

もはやSNSの特性上、主観的な意見が蔓延るのは避けられないと割り切って、一人一人が妄信的に食べログを鵜呑みにしてしまいがちな姿勢を改めて、参考程度に留められるようになるしかないんじゃないかなと思う今日この頃です。

 

ネガティブ陰キャ気質が災いしてついぞ厭世的になってしまいましたが、食べログ狂想曲はそろそろ終わりにして、人の意見をうまく取り入れつつ、好きなものだけを追い求められたら、それって素敵ですよね。

 

一方、一部グルメブログと化しかけている当ブログについては食べログじゃなくて個人ブログだから別に何言ってもオッケーじゃね?とかいうクラスのバカ男子がやらかしそうな揚げ足取りはせずに、伺ったお店および頂いた料理と食材のすべてに真摯に向き合ってまいりたい所存です。

 

決定を下すときに、「他の人はどう思うだろうか」ではなく「自分は自分自身をどう思うのか」と問うようにしましょう-トーマス・S・モンソン

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というわけで、時事ネタを絡めた決意表明および宣伝はこの辺にして、本日の主題に移りたいと思います。

 

始め方が始め方だけに外食日記もボロが出かねないってんで、今回は料理日記、それも過日のアイナメ尽くしパーリナイについて書いていきたいと思います。

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そもそもアイナメってのは、なかなか一般家庭の食卓に上がることは少ない、いわゆる高級魚に分類される磯魚です。

漢字表記はいくつかあって、鮎魚女、鮎並、愛魚女と、いずれもどこか艶かしいセクシーさが漂います。

 

平均的な全長は30〜40センチほどで、大きいものだとなんと60センチにも達するんだとか。

 

今回は訳あって青森を訪ねた折、魚を豊富に取り揃えているショッピングモールを訪れたところ、30センチ程度の新鮮なアイナメが1000円ちょっとで売られているのを発見したってんで、すかさず購入。

東京で買えば小売価格2000円はいくことを考えれば、とってもお得な出会いですね。

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ちなみに青森での呼び名はアブラメアイナメくださいって言っても絶妙に通じなくてひとしきり苦労したのは内緒

 

そんなアイナメを使って、今回作った料理はこちら。

 

例によって何と無く想像つくような料理ばかりにつき詳細レシピの説明は控えますが、ビジュアルと詳細は以下の通り。

 

アイナメの握り

アイナメの刺身

ミョウガの味噌焼き

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アイナメを三枚に下ろして、半身はまず握りと造りにしてみました。シンプルにわさび醤油でいただきます。

磯魚なのにいわゆる磯臭さはなく、スッキリしていて、適度に脂も乗っている…というより、白身にしてはトップクラスの脂の乗り具合。プリプリシコシコの歯応えと相まって、白身魚の醍醐味が味わえます。

 

なかなかにインパクトのある味わいということで、付け合わせには同じくインパクト重視でミョウガの味噌焼きを作ってみました。

 

半分に割ったミョウガに、味噌・みりん・砂糖・酒を混ぜて作った合わせ味噌を塗りつけて、オーブントースターで表面を焼くこと3分間。舌がリフレッシュされて、また新たな気持ちでアイナメが頂けますよ。

 

せっかくなので、お酒は青森は弘前市の銘酒・豊盃でいってみたいと思います。

地の魚には地のお酒、とはよく言ったもので、口に含むとアイナメの旨味が膨らんでうっとりもの。

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アイナメの山椒焼き
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ここでひとつ趣向を変えて、焼き物にいってみます。

アイナメは皮がうまい、というのはご存知の方も多いかと思いますが、刺身で頂くにはいささか分厚く固いので、山椒を混ぜた幽庵地に漬け込んで焼いてみました。

ちなみに幽庵地は、醤油:酒:味醂を1:1:1の割合で合わせて拵えております。

 

幸いにも皮パリパリで身はほっこり、という絶妙な焼き加減に仕上がったため、皮それ自体はもちろん、皮目と身肉の間の脂身も十分に味わえたのが嬉しいところ。

 

地に混ぜ込んだ山椒の香りが爽やかで、いくらでも食べられそうです。

豊盃を合わせてみると、ふくらみのある温か味を感じさせる風味がアイナメとドンピシャで、なんだかリッチな味わいです。

 

アイナメの造り スダチ

アイナメの握り スダチ

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と、ここで切り身が余ったので造りを追加。

先程は醤油でいただきましたが、今回は淡白な白身の味わいを活かすため、スダチ塩でいただきます。

 

今回のアイナメはなかなか脂が乗っていることもあり、ともするとダレてしまいそうなところですが、スダチの酸味のおかげで味が引き締まるとともに甘みも際立つので、より美味しくいただけますよ。

 

握りも同じく追加して、スダチ塩で食べてみる。

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スッキリとした味わいのもと頂けるのは刺身と同じくである一方、シャリと合わさるとアイナメの旨味がなぜか強く感ぜられます。

日本酒といい、握りといい、米の力の偉大さを思い知りますね。

 

 

いかがでしたでしょうか。

質の違いはあれど、お店で頂くのに比べれば驚くほど安く頂けたと思います。

 

たとえ高級魚でも、ノドグロみたいな桁外れのものを除けば、おうちで捌いてみれば意外と手が届くので、ぜひ試してみてくださいね。

 

料理ができると節約に繋がるだけでなく、料理にかかる手間も理解できるので、冒頭で述べたような食べログヤクザに堕ちることも防げるのではないでしょうか。

 

そんなことからも、当方に置きましては、今後も料理を頑張る皆様を応援してまいります。

 

謎の表明をしたところで、本日もお開きとさせていただきたいと存じます。

 

それでは、駄文をお読みいただき、

ありがとうございました。

 

 

続く

 

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料理

 

 

 

 

 

【食べ歩き】堂ヶ島食堂(堂ヶ島海岸)

こんにちは。

 

本日の投稿は、前回に引き続いての西伊豆旅行で立ち寄った、堂ヶ島海岸の食堂についてです。

 

というのも、そこでいただいたランチがとても美味しかったので、これは記録に残さねばならぬと考えた次第であります。

 

そもそも堂ヶ島というのは西伊豆の西部に位置する、加山雄三ミュージアムがあることでも有名な観光地。

 

たびたびテレビの旅行番組でも目にすることがあることからも知名度は申し分ないこちら、アクセスもさぞ良好だろうと思いきや、電車・バスを乗り継いで東京都心から赴くとなるとなんと所要4時間あまり!

東京駅から広島駅まで行けちゃうレベル…!

 

なにしろ最寄りの鉄道駅・修善寺からバスで1.5hというのだから、車でもないとなかなか足が向かないですね。

 

此度はせっかく車で西伊豆に行くのだから是非寄らねばってんで、天気が良かったこともありやって参りました。

 

晴れ男たるわたしの来訪によるものか、予報に反して天気にも恵まれました。

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せっかくなので、洞窟めぐり遊覧船と呼ばれるミニクルージングにも参加することに。

2000円弱で、天然記念物に指定されている天窓洞を含めたコースを20分程かけて周遊するクルージングを体験できる人気アクティビティです。

 

天窓洞というのは、凝灰岩でできている洞窟で、中央は天井が丸く抜け落ちて天窓をなし、光が射しこんでなんとも神秘的な洞窟です。なんでも、天然記念物にも指定されているんだとか。

 

水が綺麗なのももちろんですが、やっぱり男の子には洞窟を船で行くというアドベンチャー感が嬉しいですよね。

 

加山雄三ミュージアムとの抱き合わせ販売もやってるので、加山雄三ファンの皆様には大変おススメですよ。
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車で十分ほど北上したところには、田子瀬浜海岸という、シュノーケリングもできるほど水の綺麗な海水浴の名所もあったりして、アクティビティには事欠かないので、一日中楽しめます。

 

これはナイスコンパクト観光地ですね。

興味ある人はぜひググった上で、行ってみてくださいね。

加山雄三ミュージアムもあるしね)

 

堂ヶ島観光協会の回し者みたいになってしまいましたが、いい加減、飯の話はどうしたんじゃいって感じなので閑話休題

 

遊べばお腹が空くってのはやはり人間の常なのか、観光地ならではのご当地食堂堂ヶ島には軒を連ねておりますが、その中でも図々しいほどに直球な店名の堂ヶ島食堂さんに伺いました。

https://tabelog.com/shizuoka/A2205/A220505/22026031/%20%20

 

店頭には加山雄三をはじめ、全国区からローカルレベルまで幅広い芸能人のオートグラフが所狭しと飾られています。

 

ここで、有名人がよく来るお店ってところに少し天邪鬼というかヒネクレモード発動して、店の選択誤ったかしら…なんてちょっとブルー入っちゃったものの、店内はやたらと賑わっております。

 

ファミリー層中心とはいえ、100人はゆうに入りそうなハコに7割程度の客入りってんで、まあ、まずいこたないだろうし、しゃあねえから待ってみるかあ、と大人しくベンチにて順番を待ちます。

 

5分ほどして座敷に通されました。

思ったより早かったことからも意外と回転は早いのかしら?

 

早速メニューに目を通すと、堂ヶ島らしく海の幸を使ったお品が並びます。

 

海鮮をふんだんに丼にぶち込んだ漁師丼やぶっかけ丼に目を奪われつつも、先日食べた伊豆の地アジの美味しさが忘れられず、アジフライ定食(1390円)をチョイス。

 

ちなみに、アジフライは2枚だと1390円、3枚だと1690円というように、量によって値段が変動します。

 

ほかの丼物もレディースサイズおよび価格が用意されていたりして、サイズと値段をフレキシブルに選べるのは嬉しいですね。

 

そして運ばれてきたのがこちら。

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デ、デケー!!
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一枚あたり丸ごと一尾のアジを使って作るのがアジフライの常とはいえ、こちらのアジフライは名物を謳うだけあって大型のアジが使われているようです。

 

体感サイズはおよそ20センチ以上。

見ただけでお腹いっぱいになりそうなボリュームに心が踊ります。

 

意味もなく持ち上げてみた。

見てくれだけでなく質量もズッシリでなお結構。
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すかさず歯を入れてみると、衣サクサクで身はしっとり、というテンプレ通りの間違いないおいしさ。

身が新鮮なので食べ応え抜群な一方、揚げ加減ちょうどよく身も瑞々しいのが嬉しいところ。

 

店員さん、みんな若いし海辺のカフェにいそうな軽いノリだったことも不安因子の一つだったけど、どうしてなかなか、とっても美味しいランチにありつけたのは、嬉しい誤算でありました。

 

これだけ美味しいアジフライ、当然飲み物はこちらでやっていきたいと思います。
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銀色のヤツ!

気まぐれクックさんファンです

 

残念ながらノンアルなのはドライバーの良心ですが、最近のノンアルコールビール、かなりレベルが高いです。

すっかり脳も騙されちゃって、飲んでもないのにいい気分。

 

調子に乗っていかにも酒のつまみ然とした、カツオのハラモの燻製を追加したりして、すっかり満腹。

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これはただの生臭いジャーキーという感じ

 

追加オーダーはあまり美味しくなかったものの、大満足のもと、店を後にしたのでした。

 

お会計は前述の通り、一人当たり1500〜2000円程度。

若干、観光地料金が入ってないでもないけれど、この質とボリュームであれば、十二分に満足できるのではないでしょうか。

 

ただ、まわりを見渡す限りだと、なかなかメニューの写真通りとはいかず、ものによっては期待外れなものもあるのかもしれません。

 

そのあたりは、まぁ運にも左右されるところかと思いますので予めご了承ください。

 

総じて満足できる食堂、ひいては堂ヶ島散策でした。

 

繰り返しになりますが、堂ヶ島周辺はコンパクトに色々なアクティビティが集まっているので、プチ旅行先としておススメですよ。

 

もし気になるようでしたら、西伊豆にお越しの際にはぜひ行ってみてくださいね。

 

それでは、本日も駄文をお読みいただき、

ありがとうございました。

 

 

続く

 

 

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【食べ歩き】富久三苑(雲見温泉)

こんにちは。

 

本日は外食日記というか、旅行記もしくは宿レビューに近いのであらかじめご了承ください。

 

先日の伊豆旅行の逗留先がとっても好みだったので、せっかくブログも始めたことだし、記録に残しておこうと思います。

 

別に、インスタ映えもしないし派手さもない普通の宿なんだけど、なんだか「コレコレ、コレですよ」って言わずにいられないお店、ありますよね。え、ない?いや、ありますよね。

今回のお宿はまさしくそれでした。

 

何にでも、丁度良さというものはあって、そしてそれは本当に、人によってもシチュエーションによっても異なるから難しいんですけどね。

 

あなたにとって大切なものと、私にとって大切なものとは違う。それぞれ違うということ。その違いをわれわれはお互いに受け入れていくことが大切だと思う-本庶佑

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旅行は、好きです。

まあ財布事情からもっぱら国内、それも東京近郊にたまに行くくらいですが。

 

精神的につらいときとか落ち込んでいるときとか、知らない街をブラブラするだけでも大分持ち直せるような気すらします。

 

それも、ちょっと寂れた温泉地なんかだとベスト。過去の栄華を匂わせつつ、必死に時間の流れに抗っている様子に元気付けられる。

 

例によって、最近はわりと気持ちが落ちることが多かったので、そろそろ旅行に行きたいなーということで、急遽、西伊豆雲見温泉に行くことを決めたのでした。

雲見温泉というのに別に深い意味はなくて、地図を眺めてたらそういや行った記憶ないなーと思って適当に決めました。両親によると赤ちゃんの頃に連れていかれたらしいけど。しらんがな。

 

現地の人に聞いて知ったんですが、どうやらこちらはダイビングの名所みたいですね。

それだけに街中にはダイビングセンターなる建物が至る所にあって、トップシーズンはとても賑わうんだとか。

 

幸いにも、我々が伺った9月半ばは暑さも和らいでいて、海目当ての観光客はほとんどおらず、海辺特有の寂れた雰囲気を称えてくれておりました。

海辺って潮風のせいか建物が傷みやすくて、それが場末感を醸し出すような気がします。

 

寂れているとはいえ(何回言うねん)、そこは温泉地なので宿は星の数ほど点在しているのですが、中でも食事の評判が高い今回の民宿、富久三苑に伺うことに。

 

往々にして民宿のレビューってのは好評不評入り混じっていて、一概に信用すべきではないとは思いつつ、こちらの宿はこと食事に関しては確認する限りマイナスレビューはゼロ

清水調べ。対象サイト:じゃらん&楽天トラベル

 

これは期待できますねえと楽しみにしながら、チェックインを済ませたのでした。

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迎えてくれたのは、いかにも肝っ玉母ちゃんという感じの女将さん。

愛想は別にないんだけど、テキパキしていてお疲れさんと労いの言葉もかけてくれたりして、なんだかオカアさんと呼びたくなっちゃう雰囲気です。

 

他のスタッフとしては、ご主人とそのお父上と思しき男性2名、お母様と思しき女性が1名。

定かではないですが、どうやら家族経営のよう。

 

部屋は全部で6〜7つで(うろ覚えです)、民宿なだけあってすべて和室なところにどこか郷愁を覚えます。今風に言うと、エモい。

9月とはいえ三連休の中日というのもあって満室なようでした。

 

チェックインは16時夕食が18時ということで少し時間もあったのでお風呂も頂いたりして、f:id:shmz_foodlover:20190925184749j:image

古めかしいけれど掃除の行き届いた岩風呂

 

お楽しみの夕食と相成りました。

結論から申しますと、めちゃくちゃ量多いです。

 

食べても食べても次が出てくるので、楽しみ半分、不安半分といった具合。

田舎の親戚の家に行った時のような、むきだしの親切というか、無防備な親切が身にしみます。

 

そんな富久三苑さんで頂いた夕食が以下の通り。

なお、民宿だから…というわけではないでしょうが、お料理の説明はほとんどありません。

なので料理名は推測というか適当です。悪しからず…。

  • 小肌、刺身こんにゃく、きゅうりのヌタ
  • 枝豆豆腐
  • 地アジ、マグロ、イカの刺身盛
  • キンメ、しめじ、里芋の煮物
  • 海老、スナップエンドウ、サーモンの冷製 胡麻ダレ
  • 土瓶蒸し
  • 真魚鰹の幽庵焼き
  • 鮑の踊り焼き
  • 四角豆、かぼちゃ、舞茸の天ぷら
  • ご飯
  • アオサの味噌汁

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数、すごくない?

一つ一つちゃんと美味しくて、かつ意外なことに盛り付けが洒落ています。

聞くとご主人は板前出身で、料亭の心得もあるんだとか。

 

言われてみれば、どの器もカワイイし、目にも楽しいのが嬉しいですね。

 

■小肌、刺身こんにゃく、きゅうりのヌタ

■海老、スナップエンドウ、サーモンの冷製 胡麻ダレ

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突き出し的に最初に頂いたこれらのお料理ですが、これといった特徴はないけれど、それが逆に嬉しい。

普段着の贅沢、という感じで落ち着きますね。

 

■枝豆豆腐
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これも突き出し同様、なんの変哲もないんだけれど、卓を賑わせてくれる嬉しい存在でした。

 

■地アジ、マグロ、イカの刺身盛
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海辺の面目躍如といった具合の新鮮なお刺身盛り合わせです。

マグロ、イカももちろん美味しいんだけども、ビジュアル的にも圧倒的な印象を残すアジの鮮度が尋常じゃない。

 

贅沢にも半身を半分にカットしてあるので、口いっぱいにプリプリと歯ごたえ抜群のアジを頬張れます。

古いアジにありがちな嫌な臭いは全くなく、美味しいお刺身でした。

 

これはビールなぞ飲んでいる場合ではないと、伊豆の地酒・あらばしりにチェンジ。

すっきりしていて、新鮮な刺身と合わせてより清涼感を味わえます。

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■キンメ、しめじ、里芋の煮物
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※たぶんシメジじゃないです。

綺麗に六方に剥かれた里芋と、贅沢にもキンメを一緒に煮てあります。

 

里芋は柔らかく炊けていて、味が芯までよく染みていて美味しいです。

料理屋さんの煮物とは違う、若干濃いめのこってりした味付けは民宿ならでは。

 

とはいえ面取りが六方剥きであるあたり、ご主人のこだわりが感じられます。

 

■土瓶蒸し
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さすがに松茸を使うわけにもいかないのか、代わりにエリンギが使われています。

それでも十分すぎるほどのアサリや昆布、カシワの旨味が合わさって、とっても美味しいお汁になっておりました。

 

中の具をつついて食べるライブ感も土瓶蒸しならではのお楽しみですよね。

きっちり演出にもこだわってくるところに営業努力を感じずにいられません。

 

真魚鰹の幽庵焼き
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高級魚が出てまいりました。

箸を入れたときの当たりはしっとり、口に運ぶとホロホロに柔らかい、大型の白身魚ならではのあの食感。

 

脂と地の味が合わさってコッテリした味わいで食べごたえがあるところもたまりません。

そろそろお腹いっぱいかな…と感じ始めたところだったのに、ついつい美味しくいただいちゃいました。

 

■鮑の踊り焼き
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そうこうしているうちに、鮑が焼けてまいりました。

今回は某じゃらんの特別プラン、「アワビ踊り焼き付いちゃって この値段でいいの?貸切風呂無料」をお願いしていたのもあり、いわば本日の目玉とも言えるでしょう。

 

値段も手頃ってんで、どうせ大した鮑じゃないんでしょう?と思いきやサニアラズ。

ご覧の通り、かなり立派な風貌をされております。

地元の漁港直売所にもたくさん鮑が並んでいたので、地のものが安く手に入るのかな?

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焼き上がりにバターを落として、溶けたところを頂きます。


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こんなんもう最高やん…。

 

生の鮑も美味しいけれど、火を通すと柔らかくなって、かつ旨味もグンと増してきます。

磯の香りとバターのコクが合わさって、シンプルに美味しい。肝のさわやかな苦味も嬉しいですよね。

 

この値段で、いいの…!?

 

四角豆、かぼちゃ、舞茸の天ぷら
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沖縄ではうりずん豆、タイではトゥアプーなどと様々な呼称が存在することからもわかるように、アジアの広い地域で愛される四角豆を、伊豆では天ぷらで頂きます。

パリパリシャクシャクした食感は、スナップエンドウのパキッとしたそれとも違って楽しい。

 

食事も後半ということもあり、天ぷらが運ばれてきた瞬間はなかなか焦りましたが、野菜づくしなので救われた心地。美味しくいただきました。

 

当然これだけ食べれば、満腹も良いところですが、存外にもペロリと食べられちゃうのが旅行の不思議なところ。

そんな中、おばちゃんがやってきて朝食の時間をどうするか尋ねられます。

 

こんなに腹一杯なときに朝食のことなんぞ考えられるかいな…

 

とは思いつつ、7:30と8:00の2ロットのうち、少しでも遅い時間を、という無駄な抵抗で8:00をチョイス。

 

果たして食べられるのかしら?という不安を感じながら、民宿ゆえのセルフサービスの配膳や布団の準備で気休め程度の腹ごなしをして、軽く寝酒なんかしたりして夜は更けていったのでありました。

 

あくる朝、起床はお爺ちゃんモードが発動してなんと6:00。

なんとなく田舎の朝は早くあるべきという固定観念があるせいか自然に目が覚めちゃうのもまた旅情ってやつですね。

 

何しろ初日は長時間の運転の疲れもあって宿直行だったので、せっかくなので周辺を散歩してみました。

ちなみに、麻布十番など都心からは首都高、新東名を乗り継いで、3時間程度(※)かかりますので、お越しの際は参考にしてください。

※三連休中日

 

天気にも恵まれて絶好の散策日和。

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駿河湾に流れ込む小川沿いに、民宿や船宿が立ち並んでいます。

建物は潮風でいい具合に傷んでいてノスタルジック。
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売店の店先にはガチャガチャが並んでおり、ラインナップがまたなかなか個性的。

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こ、こげぱん!?

 

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ぽ、ぽちゃっこ!?

 

若者が少ないってのもあるかもしれないですが、どうにもながれる空気が平成初頭ですね。f:id:shmz_foodlover:20190926105550j:image

 

宿から海まで徒歩5分の好立地です。

先日の台風のせいか、なんとなく色がくすんでいて寂寥感が漂う海に、なぜか心が躍る。

大丈夫かわたしのメンタル。
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某宿の前には、もうちょいどうにかならなかったのかしら…というモニュメントを発見。

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いや、何かはわかるんだけど…もーちょい、こう…。

 

あらゆる名所?迷所?を横目に散歩から戻って、しばしゆっくりしようかと思ったけれど、時間もあるしせっかくなので露天風呂にも入ってみることに。
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温泉ではないみたいだけど、眼下には川も流れて景色も良いし、なにより清潔だし、入る価値ありですよ。
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ちなみに、お風呂は全て共用で、グループ毎に交代で貸切利用する民宿スタイルです。

かえってゆったり楽しめるし、これはこれで素敵。

 

そんなこんなで気付けば時刻は8:00。すなわち朝ごはんの時間です。

 

うええ…しんど…

と思いきや、散歩か朝風呂のせいか、昨日あれだけ食べたのになんとなくお腹が空いていることに驚きます。

我々の食い意地が異常なのか、旅情がそうさせるのかは不明ですが、幸か不幸かコンディションは整いました。

 

朝食は一階の大広間でいただきます。

おばちゃんに案内されて席に着くとすでに、以下の通り食事の準備が完了していました。

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  • アジの開き
  • しらすおろし
  • 焼き海苔
  • ひじき煮
  • 温泉卵
  • マグロと叩きオクラ
  • 冷奴
  • 漬物
  • おひついっぱいのご飯
  • 地ワカメの味噌汁

 

これこれ、これですよ…!

©️井之頭五郎

 

まさしく理想の朝ごはん。

多くの日本人が思い描くあの味。

したがって細かく言及はしませんが、心から安らげるお味でした。


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なお、恒例の洒落っ気も忘れておらず、味噌汁は鉄鍋で供されます。

 

夕食の時も感じたけれど、気取らない割に細かなところまで気が使ってあるお料理ばかりなのは、こちらのお宿の食事で素敵なところですね。

 

相変わらずグループに一つ割り当てられるおひつのご飯が余っていることに後ろ髪を引かれながらも、なんとか完食。

※おひつ、嬉しいものの100パー完食不可能だからやめてほしいけど、そんなこと言えないわな…。

 

遅い方の朝食の時間を選択したうえに、ついつい長居もしてしまったりして、割と良い時間になっていることに気づきます。

大広間に残っているのも、もはや我々のグループのみ。

 

ご年配が多かったせいか、ほとんどのグループがすでにチェックアウトを済ませたようでした。なんで人って、年取ると行動早くなるんですかね。

 

とはいいつつ我々も、チェックアウトの10:00まで時間もない、ということで、部屋に戻りがてら支払いを済ませ、身支度の上、帰路についたのでした。

 

総じて、とてもいいお宿でした。

しかも費用対効果が尋常じゃない。

 

上述した通りの食事の内容で、各種飲み物をたらふく頂いたにも関わらず、一人当たり10500円。

 

プラン名にも「この値段でいいの?」とありますが、実際に支払ってみると本当に

「この値段でいいの?」てな印象でした。

 

洗面台もトイレも共用だったり、洋式トイレに至っては宿全体で一つしかなかったり、配膳や布団の準備は半セルフサービスだったり、建物自体が古かったりと、民宿であるが故の制約はちょいちょいあるものの、個人的にはとても居心地のよい、素敵なお宿でした。

 

西伊豆という都民にとっても手頃な観光地ということもあり、今度伊豆に来た際にも、ぜひ伺いたいですね。

 

雲見温泉というのはダイビングとかに興味のない人にはそこまでメジャーではないかもしれないけれど、西伊豆にお越しの際はぜひ行ってみてくださいね。

特に旅行にノスタルジーを求めるお方には強くオススメいたします。いるんかそんな人。

 

それでは、今回も駄文をお読みいただき、

ありがとうございました。

 

 

続く

 

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【料理日記】イナダづくしの夜

こんにちは。

 

ひさびさの料理投稿です。

別にほぼ毎日料理はしてるんだけど、料理投稿ってなんだかハードル高いんですよね。

 

材料と分量を書き出して、経過の写真も載せるとなると実際の作業時にも影響でてくるでしょ。

(実際、強火で加熱してるときとか写真撮ってる場合じゃないよね)

 

仕事じゃないんだからそんな真面目にやる必要ないんじゃない?というのは連れの談なんですけども、まぁ、おっしゃる通りだと思うので、適当記録として書いていけたらいけたらなあと思います。

 

誰にとってもどうでもよすぎる決意表明はこの辺にして、今回のテーマはイナダ料理です。

 

イナダってのは関東圏では言わずと知れたブリの幼魚の呼称ですね。

関東では、モジャコ(稚魚)→ワカシ(〜35cm)→イナダ(〜60cm)→ワラサ(〜80cm)→ブリ(80cm〜)と呼び名が遷移します。

 

ブリは出世魚で、成長とともに呼称が変わるってのはあまりにも有名かと思いますが、自分の地域以外での呼び名を空で言える人って、意外と少ないんじゃないでしょうか。

 

ちなみに関西では、モジャコ(稚魚)→ツバス(〜40cm)→ハマチ(〜60cm)→メジロ(〜80cm)→ブリ(80cm〜)となるそうです。

※養殖のブリをハマチと呼ぶケースもあるそうですが、理由については「ハマチ 養殖 呼称」とかでググってみてください。

 

今回はイナダということで、いわばブリの第三形態ですね。

まだトランスフォーム段階は残しているものの、ピ◯コロさのスピードも凌駕するくらいには成長しているはず。

 

捌きがいもあるし、ちょうど手頃で大型のお魚を捌きたい気分だったので、ハナマサで見つけたイナダを買って料理してみました。

 

お値段はなんとお手頃にも890円!

おうちでプチパーティー、なんてときにはうってつけなんじゃないでしょうか。

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どうしてなかなか立派やないですか…!

やたらとデカイのでサイズを図ってみたらなんと全長58cm。

 

ワラサと呼称が変わるのは60cmからなので、サイズ的にはほぼワラサ。もはやこの子はワラサです。

※イナダです。

 

味の濃淡はあれど基本的にブリの子どもなので、調理法はブリのそれに合わせてみました。

これはこれで、夏の疲れが出てくる頃でもあることだし、さっぱりした味わいを好む人にはかえって良いんじゃないのかしら?

 

そんな今回のメニューは以下の通り。

  • イナダの握り
  • イナダの刺身
  • イナダのカマ塩焼き
  • イナダのアラのムニエル
  • イナ大根
  • イナダのコンフィのサラダ

 

もはやレシピってのを書くまででもないレベルでシンプルな料理たちですが、以下、各詳細とビジュアルです。

 

■イナダの握り

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なんだか最近お寿司を握るのがすごく楽しいのはなぜだ…。

握ってみると意外と簡単だし、出来上がると思った以上に寿司になってるのが嬉しいんですよね。

基本的には、サクどりした切り身をそぎ切りにして、一口大に形作った酢飯に乗せて、軽く握るだけ。

 

個人的なポイントは二つあって、

  1. すし酢の割合は大さじで酢:塩:砂糖=4:0.5:2
  2. シャリを握る時は握りしめずにふんわりと

 

お店では、すし酢の割合は季節によっても変わったりするし好みなので適当に調節するといいと思います。

 

とりあえず家で食べるんだから細かいことは気にしないで、いっそのことちっちゃい子ども達と一緒にお寿司屋さんごっことかしても楽しいかもしれないですね。

 

握り方に関しては、ぼくはYouTubeで漁ると出てくるプロによる寿司動画を参考にしてます。

気が向いた時にでも漁ってみてください…と言いたいところですが、確実に思わず見入っちゃうので用事があるときとかは控えてくださいね。

 

■イナダの刺身
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ビジュアルから察せると思うので言及不要な気もしますが、サクどりした切り身をスライスするだけです。

 

イナダってのは再三申し上げているとおり、味が淡白なので、煮切り醤油とか市販のめんつゆに20分くらい漬けてから食べても美味しいと思います。

 

刺身を自分でサクどりした時に個人的に楽しみなのが、部位毎の味の違いですね。

具体的に言うと、背側と腹側の味の違い。

 

魚の三枚おろしって、まず頭を落として、中骨に沿って、両側を切り離すでしょ。

そのあと両側を半分に(泳いでるところをイメージした場合海面に平行に)ぶった切るので、必然的に背側と腹側に分かれますよね。

 

これがマグロの場合は赤身、中トロ、大トロと分類されるのでわかりやすいんですけど、その他の魚の場合は明確に分類させないわりに、スーパーで切り身を買うと、1パックあたり背側と腹側どちらかしか味わえない。

 

なので、いろんな部位の食べ比べができるっていうのは、自分で魚を捌くメリットの一つと言えるんじゃないでしょうか。

 

■イナダのカマ焼き
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こちらもレシピは明確かと思います。

捌いた時に出てくる、エラ蓋〜胸ビレまでの部位、すなわちカマの部分に塩を振り、オーブントースターで両面こんがり焼き目がつくまで焼いたものです。

 

常温のカマを焼くとして、片面あたり8〜10分くらいですかね。冷たいものは火が通るのにその分時間がかかるので調整が必要です。

 

カマはよく動かすところなだけあって、イナダとはいえ比較的脂が乗っており、もっとも食べ応えがあります。

 

たまに、ブリ、ワラサのカマ焼きは脂っこくてシンドイって言う人がいますが、そういう人(というかぼくなんですけど)にはオススメですよ。

 

イナダのアラなんて需要もないので、スーパーに並ばないし、これも自分で捌いたからこその味わいではないでしょうか。

 

■イナダのムニエル
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今回の料理記録の中にあって唯一と言っていいアレンジ要素を含んだこちら。

 

とはいえ、サクどりした時に出てきた身アラ(血合い部分や腹骨まわりの肉など)に薄力粉をはたいて、バターをひいたフライパンで、アロゼ(※)しながら加熱するだけです。

※アロゼ:フライパンを傾けて加熱対象に火が当たらないようにし、傾けた時の底に溜まったバターをスプーンなどで加熱対象にかけながらじっくり火を通すこと

 

ポイントは焼き上がりにかけるソースで、身アラを焼いたフライパンにバルサミコ酢を少量注いで沸かしデグラッセ(※)して、仕上げに塩コショウを軽くして作ります。

デグラッセ:鍋底をヘラなどでこすって、旨味をソースなどに溶かし込むこと

 

バターとバルサミコがこってりさっぱりして、安いのに、イナダなのに、食べ応えがあります。

 

ただ、骨が邪魔なのでせっかちさんは気をつける必要があります。わたしは何回かヤラレました。

 

■イナ大根
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冬の定番・ブリ大根をイナダで作ってみました。

 

ブリ大根のよさはブリのありあまる脂を大根に吸わせて美味しくするってところだと思うんですけど、淡白なイナダで作るという、伝統にケンカ売ってるかのような料理ですね。

 

言うだけあって、ぶっちゃけブリ大根のほうが数百倍美味しいけれど、大根をトロトロに煮込んであげればそれなりに美味しい煮物になりますよ。

 

なお余談ですが、以下処理ちゃんとやるだけで生臭くなるのを防げるのでおススメです。

  • 大根の面取り、下ゆでを充分にする。最低30分
  • 煮立たせない
  • アクをちゃんと取る
  • アラは事前に熱湯で血や汚れを洗い流す

※大根を下ゆでせずにレンジで加熱したりする人もいるみたいだけど、そうすると水分が抜けて萎れちゃうのでやっぱり茹でたほうがいいです。お湯にぶっ込んどくだけだしね。

 

■イナダのコンフィのサラダ
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イナダとはいえ一般家庭にとってはそれなりにデカイので、こんだけ食べてりゃいい加減飽きが来ると思います。

正直、もうウンザリだってときに目先を変えようとつくったのがこちら。

 

刺身の残りをジップロックなどにオリーブオイル&塩コショウ&ディル&粒マスタードとともに投入して密封し、炊飯器に熱湯と一緒にブチ込んで12分くらい保温します。

 

すると、いわゆる低温調理になり、タンパク質がゆっくりと固まるのでパサつかずにしっとり仕上がります。

 

イナダと一緒に投入した調味料がドレッシング代わりになるので、お好みの野菜と和えるだけでサッパリといただけるサラダになります。

 

イナダに限らず、お刺身が余ったときなんかに作ると趣向が変わっていいかもしれないですね。

 

 

いかがでしたでしょうか。

正直、ぼくって素人なのでそんなに大した料理していないのですが、魚を捌いて色々調理法を工夫する楽しさが少しでも伝わるといいな、と思います。

 

普段、魚を捌いて料理するのが好きですって職場なんかで言ったりすると、皆さんすごいねえなんて言って下さって嬉しいんですが、それって裏を返せば、皆さん「魚を捌く」ということにある程度の抵抗を感じてるんだなって思います。

 

そうじゃなくて意外と簡単なんだよ、意外と楽しいんだよってことが少しでも伝わったなら幸いです。

 

まあ、後処理はぶっちゃけ面倒くさいけれど、なんだかんだ、やってしまえばなんとかなるし何より楽しいので、是非とも魚をバシバシ捌いて料理してみてくださいね。

 

それでは、今回も駄文をお読みいただき、

ありがとうございました。

 

 

続く

 

 

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