こんにちは。
前回投稿から少し経ってしまいましたが気を取り直して第N回目の投稿です。
私事ながら当方結婚させていただきまして、入籍当日くらい少し豪勢にいこうじゃないかってんで、お寿司を頂いて参りました。
それも、せっかくの記念日だしチェーン店でもないだろうと、これまでも何回か伺っている、牛込神楽坂はすし北野さんに伺うことに。
神楽坂、と名がつくために歓楽街に位置するものと思われがちですが、牛込神楽坂は少し市ヶ谷よりの閑静な住宅街です。
まさかこんなところに寿司屋なんざありゃしないだろうと思いながら歩いていると、モノトーン調に白地で店名が書かれたのれんがかかった、やたらと瀟洒な建物に出くわします。
実は少し前に初めて伺ったのも、住宅街にあって異様な存在感を放つというギャップについぞ惹かれてのものでした。
若干高めのお寿司屋さん独特の入りづらいあの雰囲気に尻込みしつつも勇気を出して入ってみると、中には白木の一枚板に合わせた白基調のすっきりした内装が広がっております。
白木のカウンターをはじめ外観からの印象を裏切らない粋な内装にウキウキしながらも、ちゃんとしたお寿司屋さん特有のどこかキリッとした空気感に、3回目の訪問にもかかわらず少しだけ緊張。
わいなんぞがこんな良いお店に来てええんか…大将お顔、ちょっと険しくない…?なんて若干ネガモードに入りかけていたところに大将のおかけなさいという優しい一言で我に帰り、ウダウダしても始まらないってんでビールをお願いしました。
お酒が入って漸く落ち着いて、改めて店内を見回してウーンやっぱり素敵だね、なんて連れと話していたところに大将から好き嫌い有無の確認が入ります。(蛇足ですがこちらの大将、とっても優しいのでご安心ください。)
勿論なんでもいただきます、とお伝えして、めでたくコースがスタート。今回は予約時に6000円のおまかせ握り10貫コースをお願いしました。
ラインナップとしては他に12000円のつまみ付きコースがありますが、以前そちらをいただいたところボリュームが尋常でなかったこともあり、今回は控えめに握りコースをチョイスしました。
そうして始まったコースの構成は以下の通り。
■先付: 衣かつぎ、菊花とほうれん草のお浸し
季節を感じさせてくれるお通しで、まずはビールを片付けます。坊主頭に剥かれた里芋がちょこんと鎮座しているのがカワイイ。
■真鯛の昆布締め
皮切りは程よく締められた鯛。馴れた白身魚特有の歯ごたえとじっくり引き出された旨味が程よく舌に馴染んでおいしいです。
■小肌
小肌を食べれば職人の腕がわかる、なんて生意気なことは言いたくないけれど、あだやかな酸味が小肌のクセを中和してくれて非常に食べやすく、北野さんのお寿司の確かさを感じさせてくれます。
さっくりした歯ごたえが歯に心地よいアオリイカ。古くなった甲殻類の嫌な臭いは一切せず、すっきりといただけます。イカが大好物の連れにはこの日一番だったらしいです。
■赤貝
秋も深まる中にあって頂いたこちらの赤貝。
存外に香りも良く、コリコリした貝ならではの歯ざわりもしっかりと讃えておりました。
■アジ
個人的に旨味を最も感じたネタがこちらのアジ。「味が良いからアジ」の面目躍如ですね。脂が乗っているのに少しも下卑たところはなく、青魚特有のあの香りもしっかり残っていて、魚好きにはたまらない一品でした。
■赤身づけ
ここで江戸の伝統ネタ、赤身のづけをいただきます。煮切りは甘みの少ない生醤油に近いタイプで、マグロの鉄分とぴったり。力強い味わいに江戸前の仕事を感じます。
■車海老
おいしい車海老てのは良いお寿司屋さんでしか食べられない、という持論があるのですが、今回もとっても美味しくいただきました。マキエビか車海老かというジャストサイズの車海老を口いっぱいに頬張ると決して大味でないのに強い旨味が広がります。
■うにといくらの小丼
江戸前のネタではないとは言え、やっぱりお寿司屋さんに来たら頂きたいのがウニとイクラ。言わずもがなの美味しさに悶絶します。丼仕立てなのは、握れないものは握らないという江戸の心意気ゆえでしょうか。
■中とろ
江戸時代には人々に見向きもされなかったというトロ。現代人のぼくは大好きです。脂は全くくどくなく、比喩でなく口の中でさらりと溶けます。説明不要の美味でした。
■穴子
握りコースのトリを飾るのは、いわばこちらのスペシャリテ、穴子です。
握る直前に笹の上で炙るおかげで、笹の爽やかな香りと香ばしさがプラスされ、非常に芳しい一品に仕上がっております。口に含んだとたんにはらりとほどける様は、さながら穴子の理想形ですね。
■玉子
玉子はいつでもどこでも優しい。
店によって味の違いはあるけれど、やっぱり優しい玉子はこの上ないデザートです。
■ひらめ
玉子はデザート…とかいっておきながら、ついつい追加しちゃったヒラメ。秋も深まったことでうっすらと脂が乗って参りました。淡白ながらもじんわり旨味が湧き出る様は白身魚の醍醐味ですね。
■鯖
秋といえば鯖ですね。
あえて薄造りにしてから握ることで口溶けがよく、はらりとほぐれるシャリと絡んで旨味がより広がります。程よい酸味がクセを和らげてくれて、非常に整った一貫でした。
ここまで追加を含めて都合12貫。
お酒も頂きつつだったので、程よい満腹感ということもあり、ここらでお開きと相成りました。
今回も、大変美味しくいただきました。
それにしても伺うたびに驚くのが、寿司の理想型では?と思わせるような流線型のキレイなフォルム。サイズも小ぶりなので、女性でも無理なく召し上がれます。
うまい寿司は口中でほぐれる、なんて使い古された言い回しではありますが、こちらのお寿司はまさしくそれ。ネタとシャリが一体化して、おいしいお寿司だなあとしみじみ感じます。
個人的にツボなのは、何においても決して押し出しすぎないところ。上述の店外観や内装にも通じるものがあるが、キッチリやるべきことを、またそれ以上のことをやりつつも口には出さない、まさしく粋な空気がここにはあります。
粋な空気が恋しくなったら、またおいしいお寿司が食べたくなったら、是非伺いたいと思います。次は冬ごろかな。
おかげさまで良い記念日になりました。
重ねて感謝申し上げます。
それでは、本日も駄文をお読みいただき、
ありがとうございました。
続く
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