こんにちは。
またまた長野・岐阜旅行の続編です。
なにしろ2泊3日の旅行で頂く食事が毎度のごとく印象的だったもんだから、これは都度、記録に残しとかなければならぬと半ばスケベ心で書き留めさせていただきたい所存です。
(ちなみにあと1、2回ほど続編を予定しております)
というわけで今回は、宿坊を発ち白川郷へ向かう道中にある飛騨市の住宅街にひっそりと佇むBistrot Chez Bois(ビストロ シェ・ボワ)さんに伺いました。
な、なんでこんなところに…!?
と思わず聞きたくなっちゃうほど周囲の人通りは少なく、また鉄道駅からもだいぶ離れている模様。
実は7年ぶりに連れてきてもらったんですが、そのことからも長きにわたってこの場所で活躍され続けてきたことが窺えます。
看板犬のココくんが元気よくお出迎えしてくれます。
動物のいるお店ってのはしばしば人を選びますが、犬好きな我々としてはむしろ大歓迎で心なしかテンション上がり気味。
予報では台風が最接近する同日の12時ごろに伺うと、当たり前というべきか客は我々のみでした。
静かなのはありがたいけど、こうなるとかえって活気のある雰囲気の中で飲食したくなっちゃうのは身勝手ってもんでしょうね。
この日頂いたのは、以下の通りオードヴル2皿のあとにメインディッシュ、デザートと続く計4皿のランチコース。
- 豚肉のサラダのガレット包み、地物のキノコ、鴨のテリーヌ
- 玉ねぎのキッシュとスパニッシュオムレツ 黒オリーブとトマトのソース
- 国産鶏むね肉のクリーム煮 バターライス添え
- クロモジのシフォンケーキ カスタードソース、季節のフルーツ
後述しますが、都心では考えられないような費用対効果に驚かされます。地物を使い、うまく工夫もしてあって、観光客の心にも地元客の心にもしみじみと響くお料理ばかり。
そんなシェ・ボワさんの、舌にも心にも楽しい料理たちの詳細は以下に続きます。
■豚肉のサラダのガレット包み、地物のキノコ、鴨のテリーヌ
まずは前菜の一皿目といいながら、肉料理の盛り合わせが出てきました。
写真奥は、火を通した豚肉と絹さやをフレンチドレッシングで和えたフィリングを、ガレット生地で包んだもの。豚肉とドレッシングの脂分が生地のバター香と合わさって、豊かな味わいです。塩気が控えめなところに脂分が重なると冗長に感じることが多いけど、セロリの葉のようなピリッとした辛味がダレた舌を引き締めてくれるのが有り難い。
次に手前に添えられた、鴨の首の皮でレバーや胸肉を巻き込んだ、いわば鴨のソーセージを頂きます。どこをどうカットしても肉塊に出くわすレベルで鴨の存在感がものすごく、全力で鴨肉の旨味がぶつかってくる感じ。一切れで色々な部位を味わえるのも功名というべきか楽しいポイントでした。
上述二品にガルニチュールとして、地元で取れたナメコやイグチといったキノコのマリネが添えられております。ひねたようなキノコ特有の匂いは肉と合わさると不思議と燻製香のように感じられ、むしろ旨味が際立ちます。
■玉ねぎのキッシュとスパニッシュオムレツ 黒オリーブとトマトのソース
一見似ているようで個性が異なる二種類のお料理を盛り込んだ、前菜の二皿目です。
卵で作った生地という共通項はあるものの、調理法による個性の違いが如実に現れております。
丁寧に火を通した玉ねぎ特有の甘さとバターが卵と絡んでどこまでも優しいキッシュと、ごろごろ入った野菜とともにオリーブオイルで焼き上げた香ばしいトルティージャが対照的で楽しい一皿でした。
グリーンオリーブの酢漬けをペースト状にしたソースがピリッと刺激的で、優しさ一辺倒に待ったをかけているところもこの前菜が凡庸に終わらない一因と感じます。
■国産鶏むね肉のクリーム煮 バターライス添え
地元で取れたキノコがたっぷり入った自家製クリームソースで煮込んだ鶏むね肉に、これまた自家製のバターライスが添えられた、食事とメインを兼ねたと思しきメインディッシュ。
西洋では米を野菜として扱いがちながら、こちらはしっかり主食を意識した米使いなので日本人にも馴染みやすいのではないでしょうか。
じっくりゆっくり処理された鶏むね肉の火入れ加減はレアの一歩手前程度。そのため全くパサつかず、あくまでしっとりしております。クリームソースは薄力粉を使用せず、玉ねぎとクリームの甘みと滋味が効いたモッタリしていないシンプルタイプ。
なんというかコクを必要最低限に備えてあって、ランチのメインとしては適度なボリューム感が嬉しいですね。
■クロモジのシフォンケーキ カスタードソース、季節のフルーツ
東京にいるとなかなかクロモジを食用する機会ってのはないと思います。
あの高級爪楊枝の材料として知られるクロモジの芳香をアクセントに焼き込んだ自家製シフォンケーキに、フルーツの酸味と程よい甘さを讃えたカスタードソースを絡めて頂きます。
クロモジの爽やかな香りがカスタードソースで甘くなった舌を引き締めてくれるおかげで、フルーツ自体の味もちゃんと楽しめます。具材の一つ一つがくっきりと味わえるようにといった気遣いの感じられるデセールでした。
この充実した内容で価格は2500円でした。
品数でいえばそこまで突出していなさそうだけど、一つ一つのポーションが大きいので実際に頂いくと想像以上の充足感。
飛騨ならではの料理を出そうという気概も感じられて、個人的にはとっても素敵なレストランと思います。
立地が立地だけにおいそれと再訪はし難いのが残念ですが、長野県を旅行する折にはまたぜひ伺いたいですね。
それでは、本日も駄文をお読みいただき、
ありがとうございました。
長野・岐阜旅行はまだ続く
食べ歩き
長野
グルメ
フレンチ
旅行