こんにちは。
年の瀬もたけなわ、今日この頃いかがお過ごしでしょうか。
なんだか最近バタバタしてて、もはや最終更新日が思い出せないレベルで間隔があいてしまった。
三日坊主ならぬ三月坊主に終わるのもシャクなので久しぶりに更新です。
というか、毎度毎度ボリューム詰め込みすぎるのも更新しづらい一因であるという反省も生かして、今後はあくまで食べ物にフォーカスしていきたいと思います。
てなわけで今回は東急目黒線不動前駅の住宅街に佇むらんまるさんに伺いました。
不動前といえば鮨りんださんが有名ですが、こちらはその姉妹店で、もともとはうどん屋さんだったとのこと。
鮨も食べられるうどん屋さんだったのが、あまりにも高い鮨の評判に引っ張られ、いつしか鮨専門店と化したという、なんともヘンテコな経歴を踏むお店です。
そんなようわからん沿革とは裏腹に、グルメな先輩が所望するだけあって鮨オタ間でも評判はすこぶるよく、めちゃくちゃ楽しみにしながら伺いました。
なお今回の予約は、人気店というのもあり恒例の必殺・一休レストランリクエスト予約を使用しました。
確約はできないけど空きがあれば予約枠にねじ込んであげるよーというスタンスの半ば運ゲーなシステムですね。
実はこれを使用したときの勝率って大体3割くらいなんですが、今回はかろうじて3人分予約にて奇跡的に勝ちを拾うことができました。多謝。
お店に入るとまず飲み物を聞かれたので生ビールをお願いしました。
ちなみに話には聞いていたけど大将めちゃくちゃ若いっす。聞くと若干26歳とのこと。年下の分際でかなりの貫禄です。
それでいて、内一人が若干遅れる旨を伝えると嫌な顔一つせず時間差スタートを快諾いただいたりと、ホスピタリティ精神も兼ね備えておられます。
■のどぐろ
そうこうしているうちに、まず出てきたのがのどぐろの握り。
「うちではまず握りを二貫お出ししているんですよー」と話す若大将。
お任せコースでいきなり握りってあんたどないやねんと思いつつ口にしてみると、あまーい脂が一瞬にしてさーっと溶けて、犯罪的なおいしさ。
あいさつ代わりというかもはや宣戦布告レベルのインパクトでした。
■赤身づけ
続くは気仙沼の本マグロは赤身のづけの握りをいただきました。
煮切りは甘さ控えめで、マグロの赤身の肉々しさと鉄分っぽさがたまりません。
粒がしっかりしているのに口の中で自然にほぐれるシャリをねっとりマグロが包み込んで、うっとりです。
大将の思惑通り、めでたく一同のけぞっているところに、おつまみパートの開始です。
■セイコガニの茶わん蒸し ハマグリ餡
一品目は、今が季節のセイコガニをつかった茶わん蒸し。
11月と12月の2か月間のみ漁が許されるセイコガニすなわち松葉ガニのちっちゃいやつを贅沢にも内子と外子もろとも茶わん蒸しにしてもうたらしい。
ぷちぷちした外子とねっとりした内子、さらに滑らかな卵生地が相まっておいしすぎて死ぬ。ハマグリの旨味も効いています。
■カワハギ 肝醤油
カワハギの肝って、数ある中でもベストオブ肝だと思うのはぼくだけでしょうか。こってり濃厚なのに少しも生臭くないのは驚きです。
大将おすすめの三陸産わかめに肝醤油をつけて食べるのも、箸休めにしてはいい意味でおいしすぎる。
これはビール飲んでる場合じゃないということで、すかさず山本を頂きます。カワハギの肝をどっしり受け止めてくれます。
■蒸し鮑
江戸前鮨の代名詞・蒸しアワビはやわらかく仕上がりつつもコリコリした触感が残っているタイプ。
ふだんチリアワビばっかり食べているぼくには刺激が強すぎるなあ。もちろんいい意味で。
■白子ポン酢
またもや冬の定番が出てまいりました。ダレることなく筋がくっきりしているのは新鮮な証拠。
皮も突っ張っておらずとろっとろで生臭みもなく、酸味あだやかなポン酢がいいアクセント。
先日家で食べた自作の白子ポン酢とは一味も二味も違うよ。当たり前か。
肴が美味しすぎると酒も進むってんで、お酒は天明にチェンジ。パンチがあり、重厚な冬の味覚にぴったり。
■氷見のブリ しゃぶしゃぶ
日本一の名声を誇る氷見のブリはしっかり脂がのっているのに融点が低いせいか口の中でサーッと溶けて、全くくどさを感じません。
しゃぶしゃぶにしてあるので若干脂は抜けていますが、むしろブリ自身の魚肉の味わいが際立ちます。
■あん肝
こちらのあん肝は酒蒸しではなく醤油と酒で煮付けてある初めてのタイプ。
こってりしたあん肝に甘辛い味付けがドンピシャで、強めの特別純米酒にもぴったりでした。
そのお酒というのがこちら。
日本酒発祥の地というだけあって芳醇な味わいで美味しかった〜。
ここから、握りパートが再開します。
長崎県産というアオリイカ。濃厚なあん肝に舌が慣れてしまったのか旨味はそこまで感じられませんでした。
それでも、コリコリ&ねっとりの対極的な両触感が同居していて、食べていて気持ちいいネタでした。
■中とろ 気仙沼
先ほどは赤身をヅケでいただいたマグロの中トロを生の握りでいただきます。
筋っぽさは全くなく、マグロ独特の甘い油分と香りが滅法おいしい。温かめのシャリとの相性もよく、ついつい笑みがこぼれる美味しさ。
■迷いガツオ
なんとここで、話にしか聞いたことがなかった幻の迷いガツオが出てきました。
黒潮に乗って太平洋を北上するはずだったのに間違えて対馬海流に乗って日本海に迷い込んじゃったうっかりさんをそう呼ぶそうです。
カツオ独特の鉄分と香りはしっかり感じれど、戻りのさらに上をいく脂の乗り具合と身の締まりにびっくり。いい経験をさせていただきました。
■アジ
長崎県産というアジは今年二度目の旬まっさかりだとか。
プリっとした歯ごたえと、適度に乗った脂の旨味、そして青魚独特の香りを存分に味わえます。
寿司ネタの中でも一番好きなネタがこれだけおいしいというのはうれしい限りですね。
ここらで次のネタに合うものを、と大将にお願いして運ばれてきたのはお馴染み南部美人。
大ネタが予想される流れにあって納得のチョイスです。
■大トロ
赤身づけ、中トロといただいてきたマグロの大トロを握っていただきました。
脂の旨味にパラメータを全振りしたかのようなこってりした味わいでありながら、全く厭味がないのはマグロのすごさですね。
さわやかな香りのおかげでいくらでも食べられそう。食べたら破産して死ぬけども。
■コハダ
大トロも出てきたしおなかもいっぱいになってきたし、もうそろそろ終わりかな…と思っていたら出てきたコハダ。
コハダといえば、江戸っ子の手ぬぐいを思わせる斑点模様が粋ですよね。
ふんわりさっぱりとした口当たりと、これが初っ端だったら強く感じそうな酢加減が、大ネタが続いたこのタイミングにはうれしいです。
■車海老
車海老は、口いっぱいに頬張るにはちょうど良い、サイマキとマキエビの間くらいのジャストサイズ。
茹でた海老独特の強い甘い香りと味の濃さが海老好きにはたまらないですね。
■いくら
季節的に新物と思われるいくらはオーソドックスに軍艦で頂きます。
プチっとはじけるいくらのジュースが海苔の風味と相まって、磯の香を楽しめます。
■赤貝
こういう歯ごたえのあるネタって、こちらのような粒のしっかりしたシャリとはどうなんだろう…と素人ながらに思っておりました。
が、すしロボットのがちがちシャリならいざしらず、完全なる杞憂でした。
シャリがほろりとほぐれた後に赤貝の歯ごたえがきて、最終的には両者相まってソフトランディングする見事さ。生意気抜かしてごめんなさい…。
■いわし
大ぶりな真鰯はあえての二枚付にしてあるおかげでプリっとした触感が楽しめるのは素敵な工夫ですね。
鰯って歯ごたえが頼りなく感じることが稀にあるけど、シャリと切りつけのおかげで食べ応えばっちりでした。
なんだか早すぎる気もしますが、空いちゃったもんはしゃあないがなってんで実にこの日N回目の追加日本酒は日高見です。超辛口というだけあってキレがあり、ネタの味わいを引き立てます。
■さより
昆布か何かで軽く締めてあるのか、サヨリとは思えないほど歯ごたえがよく旨味もしっかり感じます。
とはいえ、もうこのあたりになると割とお酒も進んでいて、白身を味わうには酔いすぎていた気がする。
完全に自業自得ですが、身勝手をいうならもう少し早くいただきたかったなあ…。
■うに
ここで大将、ウニがいっぱいに詰まった箱を取り出してきました。
海苔をまいたシャリの上にこれでもかと積み上げた様子はまさにウニの山。
こんなにも濃厚でとろりととろけるウニが口の中を満たしまくるのは生まれて初めてですが、幸せなひと時でした。
■しじみの味噌汁
お寿司屋さんで味噌汁って珍しいですよね。味噌の味が勝ちすぎるから吸い物しか出さない、ってよく聞くものの、全然気にならないけどなあ。
しじみだけにしみじみ胃に染みる。落ち着きます。
■あなご
コースもさすがに終盤に差し掛かったところに個人的にはこの日一番だったアナゴをいただきました。
皮目を上にして握ってあるので、シャリがほぐれるとまず内側の身がふんわりとろけます。
最後に皮ぎしの旨味の濃い部分が舌にふれるので、味わいの移り変わりがとてもスムーズというか心地いいんですよね。
振り柚子とあぶった焦げ目のアクセントがまた楽しく、あらゆる面で目からウロコな一貫でした。
■とろたく
トロとたくあんを一緒に海苔巻きにするって最初に考えた人、天才ですよね。
こってりしたトロをたくあんの塩味と甘みが引き締めて安定のおいしさでした。
■たまご
デザート代わりというこちらの卵焼きは、伊達巻を思わせるずっしり食べ応えのあるタイプ。
他のお店に比べても甘味が強めなのが面白いです。
ここまでがコース一通りで、一休にも公示されている価格は22000円弱。
高いと感じるか安いと感じるかは、まあ人それぞれですが個人的には費用対効果はとても高いんじゃないかなと思います。
しっかり仕事をしてあるうえに、味だけでなく高い鮨を食ったぞーと思わせる演出が上手なんですよね。
コースの組み立ても、何度もピークを迎えるというか、クリーンナップが随所に散らばっているというか、息のつかせ方が素敵です。
私のような貧乏人って、味もさることながら、接客とか演出にかなり印象を左右されてしまうので、その点ではハレの日にはぜひ伺いたいお店だと思いました。
まあ、先輩のご厚意に甘えて全額払ってないんで、大きなことは言えないですけどね…。
ありがとうございました(小声)
コースは終了しましたが、えてしてこうしたお寿司屋さんには客の要望に応えるリクエストタイムが存在します。
したがって、これよりリクエストにお答えいただく追加パートとなります。
グルメ先輩に乗っかってぼくが追加させていただいたのは以下の通り。
■さば
秋からこの時期にかけて旬を迎えるマサバ。
締め加減はさすがにソフトで上品なさばを薄めにスライスし、複数枚付けで握りにしてあるので歯応えもよい贅沢な味わいでした。
■らんまる巻き
店の名前を冠したこちらの巻物は、インスタ映えすることでも有名な佳店の名物とのことです。
ま、巻けるの…?とついつい心配してしまうほどにたっぷりとシャリの上にマグロ、たくあん、あさつきを敷き詰め、上手にぐるぐると巻いていきます。
ひゃーすんごい…と圧倒されているところに、いくらをざぶざぶドカ盛りし始めたかと思えば、
さらにその上から先ほど頂いて悶絶したウニをこれでもかとトッピング。
これだけやればまずかろうはずもなく、かつてない贅沢をさせていただいたなあと恐縮するばかりでした。
握りのほうが好きな人も少なからずいるかもしれませんが、先述の通り演出を重んじるらんまるさんらしい、素敵なパフォーマンスだと思います。
追加分もおいしくいただいて、今度こそ本当に終わり。
毎度毎度、この瞬間のさみしさったらないですが、なんだかとっても幸せで満たされた気持ちでした。
客あしらいも上手だし店内も気取ってないし、とっても居心地がいいせいですかね。
ハレの日にはまた是非伺いたいです。次は奥さんも連れて行かないと殺されるな。
最後に、楽しい時間を提供いただいた大将、連れて行ってくださった先輩方、
どうもありがとうございました。
続く